2014-01-01から1年間の記事一覧

吉田秋生「スクールガール・プリンセス」

吉田秋生の「スクールガール・プリンセス」を読む。思春期の少女がもつ承認願望をさらりと描いた秀作。思春期の少女は本作品の主人公。といっても、読者にそうとは分からない人物に設定されている。見かけの主人公は、大学卒業後に結婚し、女の子を出産、真…

家事(育児を含む)について考える

2、3年程前に、専業主婦のイメージの貧困さについて嘆いたことがあった。例えば。働く人からは、楽な生活を送っている人たちだとか、年金泥棒とか言われているし、男性が牛耳っている政財界は、専業主婦を雇用弁に使いたいばかりに、彼女たちを価値ある仕…

シスターフッドが一部のサブカルに存在することについて

漫画家瀧波ユカリとサブカル系エッセイスト犬山紙子による『女は笑顔で殴りあうーマウンティング女子の実態』(2014)を読了。一読したところ、女子のカースト実態を、マウンティングという動物の生態から借用した言葉で説明する本と思える。確かに、そ…

ファンタジー小説は功利主義的か否か

森見登見彦の『夜は短し歩けよ乙女』(2006)を読む。積読していたものである。タイトルが気になっていて読もう読もうと引き延ばして数年。ようやく手にしてみた。ネットの感想文を読んでみたら、文体が独特で、それが良いとか読みづらい原因だ、などと…

鬱病の本を読んで

適応障害と不安神経症と軽い鬱をまとめて患っている私は、神経症系本をよく読む。そういう本を読んだ後は、例えば著者の鬱が感染したようになって、気分がすこぶる悪くなり、寝込むことが多い。それでも読んでしまうのは、他の人はどうやって神経症と共存し…

キャロル・ギリガンはカントと出会っていた

キャロル・ギリガンは20世紀後半に女性学の分野で活躍したアメリカの発達心理学者である。彼女を著名にしたのは、1982年に発表された『もうひとつの声』である。ここで彼女は、後に「ケアの倫理」と呼ばれることになる、女性がもつとされる特徴を述べ…