2008-01-01から1年間の記事一覧

北田暁大と萩原葉子

2ちゃんねるという場はなかなか入りにくい。スレの多さと細かい字にクラクラするし、検索して適当なスレを探しても、特有の表現や絵文字や作法がよく分からず、書き込むのがとてもおっくうになる。それで、そんなつもりは最初からなかったと自分に言い聞か…

母と息子、あるいはアーシュラと『ラベンダーの咲く庭で』

私の連れ合いはおもしろい言葉を拾い出すのがうまい。先日はこんな言葉をネットから拾ってきた。「私と弟へのお母さんの扱いは違うような気がする。弟だけを特別にかわいがってるってことない?」娘の不満に母親はこう説明した。「あなたも男の子を産めば、…

グロリア・スワンソン

それは、私にとって衝撃的記事だった。記事の内容ではなく、その記事が読者にある種の感情を呼び起こさざるをえない、狙いすましたかのような効果が衝撃的だった。こういうことを為すことがまだ有効であるのか、という記事に対する憤懣と言い換えてもいい。…

ジェーン・オースティン

今年は咳が激しいので、とうとう脇腹に筋肉痛がきてしまった。医者からは休養をとるように勧められている。咳によって生じる空気の動きは身体のなかで突風のごとき威力をもち、ときには肋骨にひびが入ることもありうる、と言われては仕方がない。素直に休養…

八月

今年の夏は帰省した。清田の母の一周忌、初盆が重なり10日間という長めの帰省になった。私の父も他界して4年、母が一人暮らしているので4日間ほどは佐賀の方にも顔を出した。寂しく暮らしているかと思えば、ゲートボールに凝っていて、楽しい毎日を過ご…

ジュリア・ロバーツ

ジュリア・ロバーツは、日本が大嫌いで、日本側広報の来日依頼も何かと理由をつけて断っている。傲慢な女優である。傲慢と言えば、私が思うにジュリア・ロバーツの上を行くのが、キャサリン・ゼタ=ジョーンズ。女帝と呼ぶに相応しく、『シカゴ』(2002…

スカーレット・オハラ

どんなことについても、どんな人物についても、その風格と品格について語ることは可能である。しかし、何が風格で何が品格か、ということを見極めるのは難しい。例えば、映画『風と共に去りぬ』の場合はどうだろう?『風と共に去りぬ』(1939)は、超大…

ドラ

去年12月末に風邪引いてから咳が止まらない。が、いつものことである。風邪がきっかけで咳が始まり、咳を私の弱点と見抜いて神経症の症状がそこにどっと集中する。大体半年くらいで収まる予定ではあるが、長期的に見れば25年以上繰り返していることでも…

安倍晋三

安倍普三(1)ちょっと前まで私の関心を独占していたのはNHK番組改竄問題である。もちろん、関心が向かったのは、公共放送の中立性でも天皇の戦争責任でもない。NHKの中立性が揺らいでいる、と鬼の首を取ったかのような批判をしたところで、NHKが…

安野モヨコと吉澤夏子

安野モヨコと吉澤夏子(1)昨日は清田とスキーに行ってきた。私にとってスキーは苦行である。やりたくないのに行かなければならないからである。たかがスキーかもしれないが私にとってはされどスキーである。清田は結構スキー好きで、11月にもなると、ス…

永江朗

駅伝の季節がそろそろ終わる。去年10月の出雲大学駅伝(男子)に始まり、全日本大学駅伝(男子、女子)、高校駅伝(女子、男子)、全日本実業団対抗女子駅伝、全日本実業団対抗男子駅伝(通称ニューイヤー駅伝)、箱根駅伝、都道府県対抗男子・女子駅伝は…

桐野夏生

「20年後(老年期)に報われないと分かっていながら人生を生きるのはつらいだろうね、君みたいに。」 「そうね。」 「報われないとわかっているのに、もしかして一縷の希望はあるかも、と考えてしまうから、それが将来への不安というかたちをとり、一層つ…

高橋源一郎

段取り力という言葉が最近よく使われている。働いている女が子育てや家事をどうこなしていくかは、仕事で培った段取り力が物を言うとか、働きながら資格をとるために学習時間をいかに確保できるかといったところからすでに他人との勝負は始まっているとか。…

三砂ちづると樋口一葉(2)

精神分析への反発といっても、私が反発したのではない。周りが反発したのである。それを批評ではなく反発と言うのは、そこになにがしかの感情の「トゲ」が見られ、嫌味が含まれていた、と思ったからである。精神分析ではこの種の言動は「抵抗」と呼ばれる。…

三砂ちづると樋口一葉(1)

三砂ちづる著『オニババ化する女たち――女性の身体性を取り戻す』(2004年)についてもはや言うべきことは何も残っていないように思うが、今日は敢えて彼女の本から思考を始めてみようと思う。本書での三砂の主張は、生物として生まれながらにもつ身体の…

若桑みどりと成瀬己喜男

ちょっとした事情で、新書を読む必要が生じ、手始めに若桑みどり著『お姫様とジェンダー』(2003年)を読んだ。これまで読んでいなかったのは、タイトルで内容は一目瞭然と思っていたからである。私の「読み」は甘かった。もっと早くに読むべきだった。…

住金の彼か彼女

ベストセラー三浦展著『下流社会』(2005年)を読む。社会が一億総中流状態から、上流と下流に分化しつつあり、具合悪いことに下流が多数派を占める趨勢である、ということをデータの素直な読み取りによって議論した本である。一時期この多数派は、「年…

小倉千加子と角田光代

大学(専任)教員を辞めて筆一本で立っていこうと決めたフェミニスト小倉千加子、52歳。フリーターや今でこそ注目を浴びているニートについてずっと書いてきた(歌人、桝野浩一評)職業作家、角田光代、37歳。私は42歳で二人の間に位置する。私がフェ…

森岡正博

先日、TBSの「ニュース23」で筑紫哲也と渡辺恒雄が二夜連続で対談していた。タカ派と見られていたナベツネが、急に小泉の靖国参拝に疑義をはさむような論説を発表したので、なんか「変」ではないか、というのが対談の理由。ナベツネによると、これは転…

竹村和子と冬ソナチアン

竹村和子と冬ソナファンは似ている、と最近、妙に気になりだした。正確に言うと、彼女の『愛について』(2002年)の心やさしく思える箇所と冬ソナファン同士の交流のあり方が、大義も言葉遣いも違うのに、同じように響いてくる。一方はフェミニズムの大…

内田樹 

内田樹(1)優等生の挫折の話なんか聞きたくねぇ、それって単なるグチじゃないの? と思うひとは多いようだが、優等生が優等生であることを自爆するかのごとく否定することは、いまだ共感をよぶらしい。否定=解放感という神話がまだ残っているからだと思わ…