2012-01-01から1年間の記事一覧

熟議や討議は政治手法としてどうなのか?

東浩紀の「一般意志2.0 ルソー、フロイト、グーグル」と岡野八代の「フェミニズムの政治学 ケアの倫理をグローバル社会へ」を同時に読んでいる。それで悩んでいる。両者とも、社会をドラスティックに変えようというところでは一致しているのだが、その政…

異なる声 (10)

アメリカの都市部の黒人ゲットーを想像してみよう。そこには、暴力とか貧困とか家族崩壊とか最底辺の生とかを多くの人が想像することだろうと思う。しかし、そういう一面があることは否めないにしても、異なる角度から見てみると、黒人家族同士が相互扶助し…

異なる声 (9)

自己犠牲は女性の美徳であると長い間考えられてきたし、今もそう思われている。私も美徳だと思う。例えば、家族の誰もが自分の事ばかりに関心をもち、家族全体のためにやるべき事をしない場合を想定してみよう。こんな場合、料理や洗濯や掃除や育児や介護を…

異なる声 (8)

女性が子供を産む、産まないを決める。いわゆる女性はリプロダクティブ・ライツをもつとされている。女性という個人が、産む、産まないを決定する権利を有しているということだ。だからといって、リプロダクティブ・ライツが普遍的な権利である、と言うこと…

異なる声 (7)

道徳問題を扱う際に、男性は普遍的な規則を参照するが、女性は他の人との関係性を重視するというのがギリガンが観察から得た知見であった。こう書くと、それは男女の本質主義に繋がるという、前回紹介した上野千鶴子がもつ批判に曝されることになるかもしれ…

結婚しなくてもいい (3)

「それでも、生きていく」(フジテレビ)は、殺人の被害者家族と加害者家族の心の行き交いを描いたドラマである。なかでも、妹を殺された兄の瑛太と、少年であった殺人犯の兄をもつ妹・満島ひかりとの恋愛へと発展していく交流が中心を占め、秀逸。展開具合…

結婚しなくてもいい (2)

結婚しなくてもいい。まるで、人々は結婚という社会制度から解放されて、何か別の可能性へと開かれつつあるようである。そして、敢えて言語化するとすれば、その可能性のひとつが、血縁を下敷きとしない家族を想像していくことだったと言える。角田光代が「…

結婚しなくてもいい (1)

2011年12月17日の朝日新聞夕刊は、昨年放送されたドラマを回顧している。それによれば、昨年のドラマは「絆を問う再生の物語」に集約出来るという。記事いわく、「震災以来、「絆」という言葉がどれほど語られたか。各局が心血を注ぐ震災ドキュメン…